ドリーム小説  なあ、俺、昨日さんの家までいったんや。
 そう突然白石がいった。、だれやったっけ? 数秒たってから、確か違うクラスのやつだ、と気付いた。俺がその子を知らないのに気付いたのか白石は、「4組の保険委員や。SALAの香りのする子」といった。そんなん言われてもわからへんっちゅー話や。けど白石がめずらしく落ち込んだようにして話すのでついつい聞きいってしまった。

 そのさん、に出会ったのは先月あった委員会のことだったらしい。もう委員会も始まって数十分たったころに彼女はあらわれた。「遅れてごめんなさい」というと彼女は白石のすぐ横を通り過ぎて席に着いた。その時に香ったあのシャンプーのいい香りが忘れられない、らしい。

「あー、もうだめや。俺完璧に堕ちてもうた」
「そんなら告白したらええやん。話したことあるんやろ?」

 家に行った、って言っていたんだし。そういうと白石は困ったような顔をした。一瞬話そうか迷ってから、ほかのやつらに聞こえないように俺の耳元へ口を寄せた。ざわざわしてるから誰も聞こえへんと思うけど、というと白石は、「念には念を、や」といった。

「で、なんや」
「いやな、実をいうと俺、さんと話したことないねん」
「はあ?」
「ほんとは昨日話かけたろ思うてたんやけどな」
「せやけど白石、家いったってゆうたやん」
「それがな……」

 白石はさらに声をひそめた。

「最初はさんが昇降口におって、そんで話しかけよおもて近づいたらまたあのええ匂いがしてなー……。気がついたらふらふらーっとついていってしもうて。そんで、結局家まで声掛けられへんかったっちゅーことや」

 え、それ、ストーカーやん。白石が「なあ、どう思う?」と聞いてくるので、俺は「それはどうかと思うで」といってやった。

「それはどうかと思う」