きっと体重とかも知っている
 三年四組、 。身長、目測155センチ前後。部活動は無所属。委員会は保険。好きな色は白。得意科目は国語、苦手は化学、数学。髪は黒のロング。使用しているシャンプーはSALA。成績は中の上。性格はおとなしいほうだと思われる。現在彼氏はなし。


 これが俺が今日までに集めた さんのデータ。われながらよくここまで集められたものだと思う。しかしこれはすべて俺の予想、または他人から聞いたものだ。彼女から直接聞いたことはない。むしろ、話したことすら、ない。いちおう保険委員同士、ということで接点がないことはないのだが、どうも話しかける勇気が起こらず、今に至る。


 現在は五時間目、俺達三年二組は国語の授業で、四組は体育。俺の席は窓際で、ここからは校庭が良く見える。授業を聞きながら、教師の目を盗み、俺はグラウンドで元気に動いている さんはあのきれいな髪をピンクのシュシュで高い位置でひとつにくくっている。その姿に思わず見とれてしまいそうになるが、教師に見つからないように時々前を見るのも忘れない。授業の終わる十分前になるとさんは校舎へと消えて、俺は授業に集中することにした。視線を戻す際に謙也が睡魔に耐えきれずに眠っているのを視界の隅で確認した。

「あー、ノートとれんかった」
「寝てたんやろ」
「せやけど午後一番で国語やで? 眠くなるんは仕方ないっちゅー話や」
「俺は寝てないでー。ちゃんと謙也が寝そうになってんのも見たしな」
「はー、なんで白石は眠くならないん?」
「んー?」

  さんを見てるからや、とは言わなかった。が、考えていただけで顔がにやけてしまったらしく謙也に「なににやけてん」とつっこまれてしまった。


アイリスヒスパニカ
(私はあなたに無性に恋している)