さんのでてくる夢だ。具体的にどんな内容だったかは覚えていないが、目覚めた瞬間、心臓がひどくどきどきしていたのを覚えている。今日はGW終了後初の登校日。つまり、俺は五日間、さんに会っていないのだ。 一日目、そう言えば今日からしばらくさんに会えない、といことに気付いて。 二日目、四組に行ってさんの席に座ってみたりして。 三日目、こんなことなら写真でもとっておけばよかった、と思い。 四日目、ついに耐えきれなくてさんの家まで行って。(しかし、さすがに会うこともできずに引き返した) 五日目、さんを想いながら毒草聖書を書き。 そして今日、やっとさんに会える日が来た。 足取りも軽く学校へと向かう。到着したのは、いつもより少し早い時間だった。 さんは俺よりも遅れて学校へくる。俺はさんからは見えないよう、隠れて彼女が登校するのを待った。 さんが到着したのはそれから5分ほど後。前方にあの姿を見つけてついつい叫びたくなった。五日間ぶりのさん。その髪は相変わらず美しい。 もし近くによって、その髪を触ることができたのならよかったと思った。そうしてその中に顔を埋めてあの香りを思いきり吸い込みたい。SALAの香りだけではなくて、さん自身の匂いも混ざったあの香りを。 そういえばこの間、妹がシャンプーを変えた。浴室に置いてあったのはあのピンクのボトル。 確かに俺はあのSALAの香りは好きだ。しかし、風呂あがりの妹にさりげなく近づきにおいをかいでみても、俺の期待したあの香りはしなかった。 きっとあれは、さんからしかしないのであろう。それでもその翌日、なんとなくそのシャンプーを使ってみて、(ああ、俺はいま、さんと同じ香りがするんやな)と思えば胸が高鳴った。 さんが通り過ぎたあと、すぐそこへいって空気を胸いっぱいに吸い込んだ。なつかしい、ずっと期待していた香り。 もう耐えきれなくなって俺が叫んでしまった時、その後ろを避けるようにして財前が通り抜けた。 |