「ひかる、くすぐったい」 いつのまにか起きていた光に脇腹をくすぐられた。逃げようとしても光はそれをさせない。「先輩、かまってほしい」と、光が言うからもう勉強なんてできなくなってしまった。 諦めてシャーペンを置いて光の髪をなでる。短い髪はわたしの手に突き刺さってすこしちくちくした。もう片方の手を光の頬に置くと満足そうに眼を細める。猫みたいだ、なんて思って笑うと「なにニヤニヤしてんすか」とつっこまれた。 「あーあ、これで高校落ちちゃったら光のせいだからね」 「そーッスね」 「光はそれでいいのー?」 頬に置いていた手でやわらかいそれをちょっと抓ると手を押さえられた。視線があう。そうしたら光はニッと笑って、「ええんじゃないっすか」とだけいった。 |