千歳に告白された。 わたし的に告白っていうのは、結構な一大事で、勇気だっていっぱいいるし、そんなに簡単にされることなんてないもんだろ思っていたんだけれどもこの男と来たら「え? なんでお前、驚いているの?」とでもいいそうな、むしろ「え? 知らなかったの?」とでもいいだしそうな勢いだ。 部室に入って千歳が来ているのを確認して、はやく部活いきなよー、と促してからタオルを畳んでいたら、隣に千歳が(隣、っていうかむしろ真横)座ってきて頭をこつん、とわたしの頭へと乗っける、という微妙なくっつき方をしてきた。 「部活いきなって」 「んー」 「白石に怒られるよ」 「んー」 「んー、じゃなくて」 「あー」 「……もう」 タオルを畳み終わっても千歳は動こうとしなかった。わたしが動こうとするとようやっと千歳は立ち上がって、そしてくるりとこちらへ振り向いて一言、 「すき」 と、言った。 わたしはそれになにも言えなくて、ぼうっとしてしまっていたら千歳はきょとんとした表情でわたしを見つめて(そう、そしていま)長い手を伸ばしてわたしを引き寄せた。タオルの山が崩れて、あーあ、と思ったけれどそれ以上にわたしをつつむ千歳のにおいにどきどきした。どきどき、ん? 「千歳」 「ん?」 「なんかどきどきするんだけど」 「へえ」 「ねえもしかしてわたし、千歳が好きなのかな」 そういったら千歳はふっと笑って(顔は見えないけれど声が聞こえた)「がそう思うなら」と答えになったんだかなってないんだかわからない言葉を投げてよこした。ちょっとだけ距離をとってから見あげた顔はほんのり赤くて、それを見たわたしのどきどきはさらに高まって、だから、きっとわたし、千歳のこと好きなんだろうな。 「ねえ千歳」 「うん」 「すき」 しってる、とだけ彼はささやいて、目をあけたまんまのわたしにキスをした。そうしたらやっぱりわたしの心臓はもっとどきどきどきどき脈をうったから、やっぱり、わたしって千歳が好きだったんだなあと確信できた。 |